ちゃんとしておこう

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「ちゃんと」が妻の口癖だった。 チャランポランな性格な私とは正反対の妻、そんな二人が結婚した時は、皆から不思議がられた。 私、「皆、一軒家を買ったから、うちらも買わないか?」 妻、「私達は頭金を貯めてから買いましょ」 頭金を貯めるのに10年掛かる予定だったが、妻がパートに出てくれたため、7年で頭金を貯めることが出来た。 私、「引っ越すのに、どうして挨拶のギフトを渡さなければいけないの?」 妻、「お世話になったから、こいうのは、ちゃんとしないとダメなの」 たまたま隣近所に住んだだけで、世話になったことは1度もない。 新居に引っ越すと、 私、「お返しをするなら、新築祝いは貰わなければ良かった」 妻、「お返しは、お祝いのお裾分けなの、こういうのを、ちゃんとしておくと福を招くの」。 家を建てて10年目、家を建てた住宅メーカーの人が定期点検にやって来て、外壁塗装を勧められた。 私、「外壁塗装は、まだ良いよね」 妻、「ダメよ、こういうのはちゃんとやらないと」 私、「外壁は、まだキレイじゃない?」 妻、「ちゃんとした家を建ててもらったから、10年経ってもキレイなの」 家を建ててから10年目には、外壁塗装をすることを妻は決めていたらしく、そのための蓄えもちゃんとしてあった。 私、「塗装業者さんにまでお茶菓子を出さなくて良いよ」 妻、「こういうのをちゃんとしておくと、長持ちする塗装をしてくれるのよ」 最初の塗装から10年が経ち、7歳だった娘は高校生になった。 娘、「パパ、今日から外壁塗装が始まるからね」 土曜日で仕事が休みだった私は、塗装業者さんにお出しするお茶菓子を買いに行った。 塗装業者さん、「10年で庭木が大きくなりましたね」 私、「庭木も娘も、この10年でちゃんと育ってくれています」 ネットで調べると、安さを売りにした塗装業者もあるが、ちゃんとした塗装をしてくれる業者さんを妻が選んでくれたのだから、前回と同じ塗装業者さんに外壁塗装をしてもらった。 外壁塗装をしてキレイになった家の前で写真を撮ったのも10年前と同じ、唯一の違いは妻がいないということだけ。